二極分散型積上げ横棒グラフ(Diverging Stacked Bar Chart)の作成方法2(Tableau編)
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最初にアメリカのサイトで紹介されている計算フィールドを用いた標準的な作成方法を紹介します。その次に筆者(井芹)がTableauでも独自に着想した「そういうやり方があったのか!」という、計算フィールドを使わずに簡単な操作だけで作成する方法を紹介します。 1.Tableauでの作成方法①(田尻)
Tableauで二極分散型積み上げ横棒グラフを作成するメリットは、ロング型のローデータをそのまま使うことができ、Excel編で記載した凡例の並びがおかしくなるといった制限もないことです。選択肢の数が奇数か偶数かによって作成方法が変わることもほぼありません。また図1の例のように平均を○で囲んで棒グラフの中心に置くといったビジュアルの工夫もできます。Divergent Stacked Bar Chartの詳細については以下のTableauブログの英文記事をご参照ください。 How to Visualize Sentiment and Inclination(感情と傾向を可視化する方法)| Tableau Software
https://gyazo.com/065ec15dc326ecc8dbaec1c760fea03f
図1 Tableauで作成した二極分散型グラフの例
具体的な作成方法については、以下のYouTube動画を見ながらステップ・バイ・ステップで取り組まれることをお勧めいたします。動画の方法とダミーデータを用いた筆者作成のテンプレートファイルも、以下からダウンロードできますので同時に参考にしてみてください。ただしTableauはバージョン2020.2からデータの接続が従来のジョインからデータブレンドに変わったため、計算フィールドの記述が動画の内容と一部異なる部分があります。テンプレートファイルでは、新しいバージョンに対応したかたちで計算フィールドの記述も修正してありますので、そちらをご利用ください。 ・LIKERT SCALE TABLEAU TUTORIAL - YouTube
・テンプレートファイル
2.Tableauでの作成方法②(井芹)
作成方法②のアイデアは、「Tableauのダッシュボードに肯定と否定の各結果を集計した2つのワークシートを浮動表示させて横に重ねる」というものです。このやり方も筆者(井芹)が独自に工夫して開発したもので、作成方法①で用いた計算フィールドを使う必要がなく、簡単な操作だけでグラフを完成させることができるものです。 この作成方法は画像を中心に説明します。なお、アンケート設問回答のワイド→ロング型へのピボット(リシェイプ)、読込等は省略して、通常の内訳グラフを作成できるスキルがあることを前提にして説明しています。念のため、動画をYouTubeに掲載しましたので、そちらも適宜ご参照ください。 【YouTube動画】Tableauを用いたDiverging Stacked Bar Chart(2極分散型積上げ横棒グラフ)作成方法の説明 -
2.1 肯定(ポジティブ)側のシートを作る
https://gyazo.com/c16d40d4d58826a4061747476ba1c9e1
↓赤枠の部分で、肯定以外は「非表示」に設定(「除外」はしないよう注意)
https://gyazo.com/5c04bb8b8e80ec51e1396520afe2d8ea
2.2 否定(ネガティブ)あるいは否定・中間側のシートを作る
https://gyazo.com/8e4fdc54f505dd71997731ca6b5a8acb
↓①赤枠の部分で、否定・中間以外は「非表示」に設定(「除外」はしないよう注意)
↓②軸を反転する
https://gyazo.com/4fb427a401ec239a971c9d30f8d7b784
2.3 ダッシュボードで2つのグラフを重ね合わせる
☆重要:重ね合わせる前のチェックポイント
項目名の幅は肯定・否定いずれも同じか?
項目名の順番は同じか?
集計「除外」にしてしまっていないか?(設定は「非表示」)
凡例は同じか?
肯定・否定いずれかのみで100%になってしまう項目はないか→この項目があると左右でズレが生じてしまうので、別途表示のコントロールや通常の内訳棒グラフの使用等の対応が必要です
作成の流れ
①ダッシュボードを作成
②ダッシュボードに肯定・否定の各シートを投入
③浮動表示に切り替える
④不要なフィルター、重複凡例などは非表示にする
⑤肯定・否定の0%の軸が重なるよう、X軸・Y軸座標の値、サイズの幅・高さを調整する
https://gyazo.com/b50415ccb9caa02c325ea39a4088d89a
※完成イメージ
これで完成です。最後はテキストによる説明が粗くなってしまいました(汗)。重ね合わせの手順は先述のYoutube動画も是非参照ください。 3.終わりに
2つのコラムに渡った二極分散型積み上げ横棒グラフの作成方法の説明は以上となります。横棒ではなく縦棒表示といった表現のほか、Rを用いて作成するなど方法のアイデアには限りがありません。今回のコラムではそれぞれの筆者が思いついたり、調べた作成方法を整理して共有いたしました。各大学のIR担当者やアンケート集計の可視化に悩んでいる方の参考になれば幸いです。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
※1)横浜商科大学2017年度学生調査報告書
※2)藤原宏司(2017)「実践的IRにおけるアンケート結果の分析方法について」、平成29年度第1回IR実務担当者連絡会
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